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135 病むアメリカ社会
バージニア工科大学での韓国人学生による大量殺害事件については、その原因やら動機を内外でいろいろ取り沙汰されている。アメリカで銃規制の緩すぎも大きな要因の一つだが、日本のように他国にない程、銃器を厳しく取り締まっていても、元長崎市長殺害、及び東京町田市の暴力団仲間殺害、立て篭もり事件のように、その気になれば銃はどこに住んでいても簡単に手に入るということである。これがイラクなら、もっと破壊力のある爆破装置であり、このチェ容疑者が、アメリカでも簡単に爆弾が手に入っていれば体に装着し爆破させていたかも知れない。
学生寮で二人を殺害した後、次の犯行までの二時間、自身の出演したビデオを製作して、新聞社に送り付ける沈着さ、異様な眼差しをして声明文を読み上げる冷血且つ強かさ、それはまるで自分が正義の見方、映画のヒーローにでもなったような姿で映し出されていた。この後、一般学生が集う教室へ行き、用意したチェーンでドアーをロックして30名を虐殺した。拳銃二丁で9分間に150発も連射したと言うから、マガジン交換も非常に忙しかったことだろう、以前から相当練習されていた模様である。これは昨今世界を揺るがしているテロリスト、アルカイダのメンバーがアルジャジーラテレビ局を通じて、犯行声明を読み上げ、決行するのとそっくりのシーンであった。
バージニア州には韓国人ばかりが住む、広い居住地区があり、彼はそこの出身だと云う、家族と共にアメリカに永住したのは10才の時、事件後自殺時が23才だったから、ほぼこのアメリカで教育を受けたことになる。グリーンカード(居住ビザ)保持者だが韓国国籍とのことで、将来は本国へ帰るつもりだったのか、韓国人ばかりの居住地区で育ったから、アメリカ社会には心底馴染めなかったのだろう、アメリカ人とかお金持ちに対しても、余程恨み妬みがあって声明文にもそのような表現があった。
韓国政府も大きなショックを受け、責任を感じ、特別にコメントを出していた。いつも日本に対して被害者の立場を取り続ける韓国も、今回ばかりは加害者となって余程困惑した様子だった。ところが韓国人へのアメリカ国民感情がそれほど悪くないのを知ると、従軍慰安婦に関連した活動を自粛する方針を明らかにしていたにも拘らず、韓国人団体「121連合」は安倍首相の訪米時に集会を開催する方針を明らかにし、実行したのであった。他人、他国はとことん非難をするが、自分たち韓国人は他から一切責められたくないとの強い思惑が根底にある。実に卑しい、心の貧しい国民性と言わねばならない。
しかしこれは精神異常韓国人青年による単純な乱射殺害事件ではない。9.11同時多発テロを始めとして、世界で数々の動機の分からない、納得のいかないテロ事件が発生しているが、何故このような事件が度々起きるのか、どうしてこんな混沌とした世の中になってしまったのだろう、それは現在アメリカが抱える心の病と言える。しかし誰もがその原因を検証し、反省しようとしないから何時まで経っても繰り返されるだけである。
今やアメリカは世界中から嫌われている。でも彼らはそれには気が付いていない。アメリカは経済力、軍事力で世界をリードしているというプライドがあるから、他国には常に強引な態度を取る。自由主義を構築すると云い、世界各国に進出、変革を求めようとしたが、価値観の違うイスラム圏で遂に挫折してしまった。自分たちの政策が最善の方法だと思うから、市場原理主義を世界に浸透させようとしたのだが、押し付けがましい自由主義や市場経済には付いていけない国々も出てきた。利益追求型拝金主義では人は動かせない、人道とかモラル抜きでは人の心を掴むことが出来なかったのである。
湾岸戦争、アフガニスタン侵攻にはまだしも人道的大義があり、世界も認めて協力した。しかしイラク戦争だけはアメリカの利害による戦いで、石油利権を得る為であり、チェイニー副大統領率いる軍需産業界繁栄の為であり、フセイン大統領が言うことを聞かない、気に入らないからと、ありもしない大量破壊兵器の存在を理由に始めた戦いだった。なんと言う欲深い横暴な行為ではなかっただろうか。アメリカに対して義理で戦争に参加した国もあったが、内心は反対だったに違いない。
アメリカ軍の物量作戦で勝負は簡単に付き、終息宣言はすぐに出されたが、あれから4年、戦争は宗派間の利害による対立から内乱にまで発展、ベトナム戦争以上の混迷を招いてしまった。欲から始まった戦いは、欲によって終始がつかなくなってしまったのである。
もし人道第一に考えていたなら、こうはならなかった。「二兎追う者は一兎も獲ず」でアフガニスタン情勢も悪化してきた。イラクの混迷でタリバン残党を勢い付かせてしまったのである。イラクでアメリカ軍が今後いくら増強したとしてもこの泥沼状態からは抜け出すことが出来ない。アメリカ兵戦死者の数もさらに増えるであろう。もはや石油で利権を得たとしても、取り戻し出来ない程の軍事費用を使い、しかも戦死者はもう二度とは帰らないのである。
これはブッシュ政権だけでなく、彼らをサポートしてきた右派キリスト教団体始め、60%以上もあった対テロ戦争支持者、即ちアメリカ国民にも大きな責任がある。同時多発テロ当時、平和を口にする人には反アメリカ国民とのレッテルが貼られた。元ビートルズ、ジョンレノンの歌「イマジン」まで禁止しようとした世相がそれを物語っている。
歴史は繰り返されるというが、塩野七生著の「ローマ人の物語」を読むと、市民が中心であった民主的な議会政治、戦勝国となっても、敵国民に市民権、土地を与える寛大さ、そんな共和制国家だったから安定したローマ時代が長く続いたのだった。しかし帝国主義時代に移り、覇者の驕りから、軍事力だけで世界を制覇しようとしてローマ帝国が滅亡の時代へと移って行った。それが今のアメリカの姿で、その過程が重なって見えてくる。




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