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[あとがき]
オーストラリアでポピーシンドローム(けしの花症候群)という言葉をよく耳にする。私はまだ見たことはないが、けしの花は高さが一定、頭がすべて揃っているという。 中に一本だけ飛出た花が現われると、周囲からつるが伸びて、その花に巻きつき、殺してしまうそうである。 この国はそんな国民性が強く、政治、経済、他、各分野でそのような傾向がみられ、彼等自身もそれを認めている。
大実業家として英雄的な存在だった、アランボンド氏もその犠牲者の一人だったと伝えられている。 以前ではポーリンハンソン氏、前述のように、言いたかった事を言ってくれる右翼政治家として水星の如く現われ、農村部保守層から絶対的な支持を得て当選、ワンネイション党を結成、1998年6月のクィーンスランド州議会選挙では大躍進を遂げた。 ところが同年10月、彼女自身の連邦総選挙では落選してしまったのである。
そこそこで民衆の代弁者だったら良かったのだが、余りにもカリスマ的存在となり、同党議員がストレスを理由に辞職、又造反して離党議員が続出、半数以下となり、今後の持続さえも危ぶまれている。 彼女自身記者会見でこれはポピーシンドロームであるとはっきり言った。
外国生活をする日本人もお互い足の引っ張り合いをし、この傾向にあると聞く。 外地での成功者が少ないのは、その為だとも言われている。 過去の歴史が物語っているのだろうが、外国に住む者として良く思案せねばならないことである。
オーストラリアには浮浪罪という法律があり、寝袋などで公共の場所に寝ていると逮捕される。 それでもポリスの目を逃れ街頭で生活している人達がいてホームレスと呼ぶ。
また家庭が面白くないと家出をし、集団で空き家とかドカンの中で暮らしている子供達をストリートキッドという。 夜中に商店を襲ったりするのは彼等だと言われているが、ホームレスと同様、政府とか慈善団体から食事等の世話をうけ手厚く保護されている。
失業者政策等、社会福祉行政を重視するのは、これ以上犯罪を増やさないためだと政府、国民も真剣にそう思っている。 ポピーシンドロームは飛出し部分だけでなく低層からの引上げも意味するものではないかと思われる。
この国の教育政策は至れり尽くせりで、修学給付金制度とか学校設備の充実は目を見張るばかり、年齢に関係なく生涯教育の場として完全にその体制が整っている。 私もその恩恵をたっぷり受けさせてもらった。
テレビで国会の生中継を観ていると、周りに連邦議員が取囲むように座っていて、 真中に大きなテーブルが置かれ、それを挟むようにして、与党閣僚と野党陣営のシャドーミニスター(陰の閣僚)と呼ばれる人達が座っている。 正面に議長がいて、その後の高台に裁判官のような人が座り法廷のような雰囲気である。 議員が嘘をつかないよう監視しているみたいだが決して堅苦しくない。 質疑応答ではヒヤかしのようなヤジを飛ばしつつ、仲の良い兄弟喧嘩のように討論をし、いつも議長からオーダー、オーダー(静かに、静かに)と叫ばれている。 重々しい日本の国会とは随分違った風景である。
最高級車を持っている大実業家、 又は連邦の大物政治家、 閣僚でさえ自分で車を運転し、首都キャンベラ周辺の二流レストランで食事をする姿を見掛けるという。 現首相も初期、連邦議事会館内の売店に並び順番を待っていて、 ランチにポテトチップを買ったが、居並ぶ人も先を譲らなかったそうだ。 列に並ぶ首相、平気でそれを見過ごす売店の従業員や周囲の人、国民一般に、それはなにも特別なこととは思っていないのだ、「これはスゴイ!」と日系新聞が伝えていた。
私がレストランをしていたとき、当時、二期目落選中の元市長が娘さんに連れられて、やって来た。 娘さんは常連さんで、そのときまで市長の娘とは知らなかった。 彼女の大好物、焼き肉どんを二人で仲良く食べて帰った。
近くの小さなレバニ−ズレストランには、前々回の連邦首相が遊説の途中、うまさを聞付けてやってきた。 私は耳を疑ったが事実であった。 ところが、そんな有名人が来店しても良いコマーシャルとはならない。 一度食べに行ってみたいとも思わない国民性なのである。
首相になっても、次の党首選で敗れ、また与党が敗北した場合、年齢に関係なく、潔く政界から身を引き、一般庶民となってしまう。 頂点を極めた者、後進に道を譲るためだと思われるが、首相歴議員及び年配者の多い日本の政界とは臨分違っている。 その良い、悪いは別として、常に浄化されている感じがする。
それでいて「政治家になったのは金儲けのためである」と日本人が聞いたら「ドキッ!」とするような言葉を平気で云った連邦首相もいた。 しかし国民はそれには一切抗議はしない、むしろ納得しているのが面白い。
まだ私にはオーストラリア人の気質や習慣で知らないこと、分らないこと、不思議なことが山ほどある。 大きな国土、自然環境の中、地理学的、文化人類学上でも未知で隠された部分が多数残されている。 調査によると5万年の歴史、芸術文化遺産を持つ原住民、近代文明の中、今でも古代と現在が背中合わせで生き続けている。 その他、底知れぬ面白さ、魅力溢れる楽しさいっぱいの国、それがオーストラリアである。 もしかしたら、ここが現在のユートピア、地上の楽園と言えるのではなかろうか。
追記:このストーリーは一応終了させて頂きます。 最後まで読んで頂き、真に有難う御座いました。 後日談又は最新の情報等は記事が出来次第投稿するつもりです。 日本では信じられない話題、体験等、面白い出来事が沢山あります。 楽しみにお待ち下さい。
テーマ:オーストラリア
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